白雪姫の王子様




──コンコンコン。



「はーい」


「師匠、今から“ジロウの会”? とかいうのに出掛けるんだってさ。だから、先に夕飯食べてろって」


「そうなの!?」



思いがけないその知らせに、私は反射的に驚きの声を上げた。



「いただきます」



おじいちゃんが用意してくれていた料理を少し温めて、犀川くんと2人きりの食卓につく。


今のところ、なんとか心は平常に保てている。


これだと思ったより早く、気持ちに整理つけられそうだな……。


少しだけ、ホッとした。



「そういやどんな会なんだろう。気になるなー、“ジロウの会”」


「ね! そんなの私初めて聞いたもん」



お互いにあれやこれやと推測を立てる。


そこに笑いは絶えなくて。


……なんか、すごく楽しい。


こうやって他愛もなく話をして、笑い合って。


そんな些細なことが、こんなにも幸せなことだったなんて……。




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