白雪姫の王子様




「よかった」


「え?」


「白雪、少し前から様子が変だったから……何かあったのかって、心配だったんだ」



犀川くんも……。



「へへっ、大丈夫! 私は元気よ?」



咄嗟に、何かを誤魔化すように間髪入れず話を続けた。



「それより! おじいちゃんったらいつもいつも急で困っちゃうわよね」


「はは、確かに」


「小学校の時なんかね? 何も聞かされてないまま、いきなり体育の授業に特別講師として現れちゃったのよ!? こっちにも心の準備っていうものがあるのに……」


「すごいな、それ」


「あ、そうそう! 犀川くんと初めて会った時だっ、て──」



──ズキン。



「ん、どした?」


「ううん……」



あれ、どうして……。


喉の奥が締め付けられたみたいに痛む。


目の辺りがじわじわと熱くなっていくのを感じる。



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