白雪姫の王子様




「あは……ほら私、おじいちゃんから犀川くんがこの家に住んでるってこと、少しも知らされてなくて。初めはびっくりしちゃったなー」


「俺は知ってたよ」



……っ。



「話を聞いて……実際に会うとどんな子なんだろうって、楽しみにしてたんだ」


「そう、なの……?」


「でも、師匠の孫が白雪でよかったな」



……めて。



「さ、犀川くんったらまた〜! 別に私になんか全然気を使わなくていいのよ?」


「本当だよ、君の笑った顔にはいつも元気をもらってる。だから、ずっと笑顔でいて欲しい」



……やめ、て。



「も、もー、やだなぁ! そんなこと言ったら、普通の女の子ならうっかりその気になっちゃうって」


「素直な気持ち、なんだけどな……。一緒にいてこんなに楽しいって思える女の子、白雪が初めてなんだ」



……ダメ。


抱いてはいけない感情が、どんどんどんどん胸に溢れてくる。


ねぇ、何でなのよ……。


私は諦めなきゃいけないの。この恋はもう終わったの。


さっき決めたばかりじゃない。


頭ではちゃんとわかってる、筈なのに。


……これじゃあ、無理じゃんか。


だって、私の中の想いは今、明らかに揺らいでしまってるんだもん。


これ以上、この感情に触れてたら私──。




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