白雪姫の王子様




最低だ。


最低だ。


本当に、最低だ。


私、なんてことを……。


犀川くんに、とんでもないこと言っちゃった。


全部自分の心が弱いのがいけないのに、人のせいにして怒鳴り散らして。


……理不尽もいいところよね。


少し走ったその先で、私はふと足を止めた。


傘も持たず出てきたこの身体には、雨粒が直に強く打ち付ける。


体温が奪われてしまうような、冷たい雨。


頭を冷やすにはちょうどいいと思った。


……このまま暫く浴びていたい気分だ。


そんな私の頬に、雨なのか何なのかわからない雫がつーっと伝った、その時。



「久々だなぁ、嬢ちゃん?」



気味の悪い声が1つ、こちらに向かって落とされた。




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