白雪姫の王子様
その瞬間、背中にゾワッと何かが走る。
「何っ!?」
ピチャ、という足音が反響して聞こえたその刹那、背後からいくつもの大きな影が現れた。
脳がそれを理解したその時にはもう、私は後ろ手に腕を拘束されてしまっていた。
「は、離しなさ──んんっ」
「ざんねーん。俺1人だとでも思った? 死にたくなかったら、せいぜいおとなしくしてることだな」
……な、ナイフ!?
「ケータイ没収しちゃって」
冷たく吐き捨てるような言葉が、鋭く耳を貫いた。
「いやっ」
抵抗も虚しく、ケータイは強引に私の手から剥される。
「お前ら、コイツをあの空き地まで運べ。ここじゃあちぃっと人気が多過ぎるんでな」
ニイッ。
憎ったらしい笑みを合図に私の口はガムテープで覆われ、大柄男によって身体は抱え上げられた。