白雪姫の王子様




「痛っ」



広い空き地の真ん中。


水溜りがいくつもできた地面に落とされ、漸く解放される。


ピシャッと跳ねた泥が、白いブラウスを一瞬にして茶色に染めた。


薄暗い上に周りには何もなく、おまけに雨音が煩い。


思い切り叫んでも、恐らく誰にも声は届かないだろう。



「どうして、こんなことをっ……」



縛られた手足が自由になると、貼られていたガムテープを剥がし、必死に絞り出すように声を出す。



「どうもこうも、てめぇにムカついたから。それしかないっしょ?」


「なっ」



何この人、考え方がヤバすぎる。




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