白雪姫の王子様




「白雪を放せ!」



……えっ?


声の方に振り向いたと同時、1つの傘が大きく宙を舞った。



「さ、犀川、くん……!?」



聞き慣れた声。


見慣れたシルエット。


土砂降りの雨に打たれながら佇むその姿を目にした瞬間、瞳に浮かんだ涙は更に溢れかえった。


……私のこと、捜しに来てくれた、の?



「っ、なん、で……」




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