白雪姫の王子様




「ひゅ〜! ここで王子様のお出ましって訳ですか」



囃し立てるような言い草に、耳を劈く笑い声。


悔しい。


こいつら、犀川くんのことまでバカにするなんて……。



「……ごめん、ね。あり、がと……っ」



声を出そうとすればするほど、涙が溢れ出してくる。



「……お前ら、よくも白雪を泣かせたな。絶対に許さない」



そうじゃないの……!


今すぐにでもそう叫びたいのに、声は少しも出てくれない。



「ハン、ほざけカス。威勢だけ立派にあったって意味ねーの。へっぽこ野郎が勇気振り絞ってしゃしゃり出てきた所で、お姫様の運命は何1つ変わりゃしねぇんだよ」



金髪の男は私の腕を捕らえたまま嘲笑うかのようにそう言うと、地面に唾を吐き捨てた。



「お前ら、さっさとそいつやっちゃって?」



嘘、まさか7人がかりで……。




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