白雪姫の王子様




「くそ……何なんだあいつァ!」



とんでもないスピードで部下を全員倒された金髪は、明らかに動揺している。


しかし。



「まあいい、次はこの俺様が相手だからな」



──シャキン。



「っ、卑怯よ!」



私を突き飛ばすと、奴は犀川くんを睨み付けながらポケットのナイフを取り出したのだ。



──ハッ。



「犀川、くん……?」



震える手足。大きく開かれた瞼。定まらない瞳孔。血の気の引いた肌。


気づくと、犀川くんは恐怖で支配されたような曇った表情で立っていた。



< 326 / 366 >

この作品をシェア

pagetop