白雪姫の王子様
同姓同名で尚且つ他人の空似……なんてことあるわけもなく。
あれは正真正銘、あの犀川くんだ。
放心状態の私が置いてけぼりになる中、彼はすらすらと声をマイクにのせていく。
同じ立ち姿。同じ声。
……なんだけど、どこかいつもと違う雰囲気を纏っている。
大勢の前だというのに、その様子は凛としていて全く動じていないみたい。
そして──。
「──新入生代表、犀川龍介」
彼が礼をしたのと同時に、会場から拍手が沸き起こった。
こうして、あっという間に挨拶は終わってしまったのだった。