白雪姫の王子様




「ンッ!」



──ブンッ!



空に大きく描かれた一文字。


攻撃を察知したらしい犀川くんは、素早い動作でそれを交わしてみせた。


悔しそうに舌打ちをすると、そいつは再び刃を向ける。



「ちゃんと、信じてるから」



手をギュッと握りながら、私はまっすぐその姿を見守る。


金髪の男を見る、殺気に満ちた鋭い目。


そこには、恐怖心なんて一切感じられなかった。



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