白雪姫の王子様




「ん、はぁっ……俺は、大丈夫。白雪こそ──」


「バカぁ! 私のことなんていいの!」



涙が溢れて止まらない。



「っ、ごめん、ね? 私、犀川くんに酷いこと……なのに……っ、私のせいで」



雨で、泥で、ボロボロに傷ついた姿。


見てるだけで辛すぎて、胸が張り裂けそうになる。



「そんな悲しい顔、しないで。俺は、白雪の笑った顔が見たいんだ」



彼の冷たい手がそっと頬に触れる。


私はそれに自らの手を添えた。




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