白雪姫の王子様
白雪姫の王子様
──カチ、カチ。
響くのは等間隔に刻まれる時の音。
救急車で運ばれた犀川くんは、処置を受けて病院のベッドの上で横になっていた。
お医者さんによると、傷は軽いとのことで、倒れた原因は精神的なものかららしい。
しかし、倒れてから半日が経とうとしているというのに──犀川くんは未だ、目を覚まさないでいる。
そんな彼を、私はただ見つめることしかできないのが何とも悔しい。
「はあ」
思わず出た深い溜め息。
窓に反射した太陽の光が眩しく、咄嗟に目を瞑った。
元気に鳴く小鳥の声。
昨晩の打ち付けるような雨が嘘のように、今朝の空は清々しいまでに晴れ渡っている。
……けれど。
私の心の中は、そうじゃなかった。