白雪姫の王子様
「それにしても、おかしいなぁ」
え?
犀川くんは突然声を張り上げると、少し不服そうな表情を見せた。
「強くなって、トラウマを完全に克服するまでは絶対あの子に会わないって、心に決めてたのに」
遠く、窓の外を見据える視線。
日の光を浴びた横顔に、無意識にも魅入られる。
それがこちらに向けられた瞬間、犀川くんは私の瞳を捉えて離さなかった。
「まさかこんなにも近くにいたなんて」
「……っ」
「そしてまた、君に助けられた」
優しい声。
温かい瞳。
私の胸は大きく音を立て騒ぎ出す。