白雪姫の王子様
「……私も、犀川くんが、好き……っ」
涙でぐちゃぐちゃになった顔。
ちゃんと目を開いていても、視界はボヤケてよく見えない。
──白雪姫様。素敵な恋を教えてくれてありがとう。
私にはもったいないくらい、とびきり最高の王子様に出逢えました──。
どちらともなく、ただ自然と引かれ合うように。
その瞬間、2つの影は1つに重なった。
0センチの距離が、伝わる温もりが、こんなにも心地いいなんて。
ああ、何て幸せ……。
そっと、溢れ出す感情を噛み締めるように瞳を閉じた。