白雪姫の王子様




にしても……どうしよう、視線が痛い。


さっきから、「彼女じゃないよね」「知り合いかなー」「い~な~」なんて声が飛び交っている。



「クラス違って残念だな。俺、7組なんだ。白雪は?」


「に、2組だよ……」



ちらり犀川くんに目をやると、丁度何か思い付いたように口を開いた。



「今から帰るところ? それなら一緒に──」


「わーーーっ!」



私は咄嗟に叫んでいた。


だって、“円の中心人物=犀川くん”ってことは、もし同じ家に住んでるってバレたら、とてつもなくマズいことになりそうなんだもん!


彼は天然。何にも気づいてない。


だからここは、私がしっかり頑張らないと!



「犀川くん、ちょっと来て!」


「ん?」



私は有無を言わさず手をひいて、彼を階段の奥へと連れていった。




< 40 / 366 >

この作品をシェア

pagetop