白雪姫の王子様
にしても……どうしよう、視線が痛い。
さっきから、「彼女じゃないよね」「知り合いかなー」「い~な~」なんて声が飛び交っている。
「クラス違って残念だな。俺、7組なんだ。白雪は?」
「に、2組だよ……」
ちらり犀川くんに目をやると、丁度何か思い付いたように口を開いた。
「今から帰るところ? それなら一緒に──」
「わーーーっ!」
私は咄嗟に叫んでいた。
だって、“円の中心人物=犀川くん”ってことは、もし同じ家に住んでるってバレたら、とてつもなくマズいことになりそうなんだもん!
彼は天然。何にも気づいてない。
だからここは、私がしっかり頑張らないと!
「犀川くん、ちょっと来て!」
「ん?」
私は有無を言わさず手をひいて、彼を階段の奥へと連れていった。