白雪姫の王子様
「──そう。楽しい高校生活を送る中で、私は思いがけず素敵な人と出逢って恋をするの……。だから、今変な風に目ぇつけられたら困るのよ」
「……なるほど。あんたまだ“王子様”捜してるんだ」
「うっ。夢見るくらい自由でしょ?」
明らかにイタイものを見る目で見てくる由利。
図星を指された私は、弱気になりながらも小さく反論した。
「って言うか、犀川くんじゃダメなの? 王子様候補。近くにいるわけだし、彼ピッタリだと思うけど」
「……そう?」
そんなの、考えたこともなかった。
私の理想の人は、昔からずっと変わらない。
強くて、優しくて、いつだって私を守ってくれる人。
犀川くんと言えば、確かに顔はかっこいいし、優しいし……けど──。
「あー、でもダメか。確かあんたには、ずーっと忘れられない“理想の王子様”がいるもんね」
「……え?」
「西嶋太一(にしじま たいち)。あんたの言う、“太一兄ちゃん”よ」