白雪姫の王子様




──……



5年前。



『まだかな、太一兄ちゃん』



もう何回目になるか分からない、腕時計の確認。


早く来すぎたかもなー、なんてちょっと後悔して、私は小さく溜め息をついた。


その時だった。



『ねぇ君、何してるの?』


『へっ』



視界を奪ったのは、見ず知らずの少し太った中年男性。


反射的に逃げようとしたのも束の間、その人は私の腕を掴んで不気味な笑みを浮かべた。




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