白雪姫の王子様




──……



『ねぇおじいちゃん、本当に大丈夫?』



私の部屋まで、荷物の詰まった段ボール箱を運ぶのを手伝ってくれるという、おじいちゃん。


そんなおじいちゃんに不安を覚えた私は、何度も何度もそう尋ねた。


けれど──。



『なあに、ワシはまだまだ元気じゃ。心配せんでも、これくら……あぁっ!』


『おじいちゃん!?』


『い、いかんっ。腰がァッ……!』



──とまあ要するに、ギックリ腰になってしまったのだった。


それが結構酷いみたいで、暫く動けそうにないおじいちゃんは、今日の稽古を“優秀な弟子”である犀川くんに頼んだというわけだ。





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