白雪姫の王子様
「そろそろ休憩にしようか」
犀川くんの声が響いて、稽古は一旦ストップしお昼休みに入った。
……よし。
私は例のモノをぎゅっと抱えると、タオルで汗を拭う彼の元に駆け寄った。
大会前でお昼を挟んでの大変な練習だというのに、快く引き受けてくれた犀川くん。そんな彼に何かお礼が出来ないかと、私は朝から“お弁当”を作ったのだった。
「犀川くん、今日はありがとう。それで、お礼にと思って作ってみたんだけど……」
「白雪が? 嬉しいよ、ありがとう」
──ドキッ。
い、いけないいけない!
不意に向けられた笑顔に、心臓が一瞬跳ねる。
紅潮する頬を隠そうと、咄嗟に顔を逸らした……のとほぼ同時。