白雪姫の王子様




……あー、やっと収まった。そうやって、ふうっと溜め息をついた時。



「あ……俺、ハンバーグ大好きなんだ」



そう嬉しそうに叫んだ後、犀川くんは口いっぱいにハンバーグを頬張った。


その様子はまるで小さい子どもみたいで、何だか可愛いなと思ってしまう。


さっきまであんなにかっこよかったのに。


そして、こちらを向いたかと思うと……。



「すごく美味しいよ」



──ドクン。



目があった瞬間の爽やかな笑顔と優しい声に、不覚にも心臓はキュンと掴まれてしまって──。


だ、ダメよ! 私は今犀川くんの言葉に怒ってるんだから。


そうやって制してみるも、鼓動は速くなるばかり。


ちょっと私、どうしちゃったんだろ……!




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