白雪姫の王子様
「よろしくお願いします!」
トラックに荷物を積み終えた引っ越し屋さんに挨拶すると、私は先におじいちゃん家へ向かうためお母さんの車に乗り込んだ。
「もう忘れ物はない? 大丈夫?」
「大丈夫だって! 心配しすぎよ」
「あっあと、おじいちゃんにはできるだけ迷惑かけないようにね」
「勿論、ちゃんと気をつけます!」
……もう、お母さんったら本当心配性なんだから。
口を開けば出てくる言葉に、私は思わず笑みを零す。
「何かあればすぐに連絡するのよ?」
「わかった。ありがと」
──こうしていつの間にか時は過ぎていき、ふと気づいた時にはもう、おじいちゃん家の前まで着いてしまっていた。
「……じゃあ白雪、元気でね」
「お母さんもね。それから、お父さんによろしく! じゃあ、行ってきます!」
私はちょっぴり名残惜しくも、車から降りるとお母さんに別れの言葉を告げた。