白雪姫の王子様
「ん、いい匂い」
……犀川くん!
びっくりしたぁ……急に現れるんだもん。
というか、お風呂上がりで濡れた髪が、何だか艶っぽい。
稽古中に見せていたクールな表情も同時に思い出されて、気づくと私は彼から目を逸らしていた。
「ねぇ、俺に何か手伝えることない?」
「へ?」
そう言われても、料理はほとんど完成しているわけで。
けれど折角の厚意なだけに、あっさりと“ない”とは言えない私は、何かないものかと暫し考えた。