白雪姫の王子様
「ごちそうさま! 私、お風呂入ってくるっ!」
「え?」
お皿をまとめると、私は勢いよく立ち上がり、逃げるように台所へ向かった。
だってこのままじゃ心臓がどうにかなっちゃいそうで、いても立ってもいられなかったんだもん!
しかし。
……あ、そうだ!
思いついた瞬間、すぐに踵を返す。
「犀川くん、もう気にしてないから。……それから、ありがとう」
襖の奥から顔だけひょっこり覗かせて、犀川くんにそっと言い残した。