白雪姫の王子様




──……



「ただいまー」



慣れた調子で戸を開けると、チラリと足元に目をやった。


どうやら、犀川くんはまだ帰ってないみた……。



──ん!?



その時目に飛び込んできたのは、見覚えのない黒の運動靴。


私はそれを無意識のうちに凝視していた。


大きさやデザインから推測して、男の人のものだとは思うけど……。


……おじいちゃんのお客さんかしら?


ついこの前までは身動きさえ取れなかったおじいちゃんだけど、今はだいぶ調子を取り戻している。


お友達でも呼んだのかな? そう思って、私はそろりそろりと中へ入っていった。


すると──。




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