愛してるの代わりに
「言い逃げしたあ!?」
「ちょ、未来ちゃん声大きい」
翌日、仕事上がり。
『話したいことがある』を未来と約束を取りつけた雛子は、居酒屋にいた。
今日の仕事を労う一杯を口にし、軽くお腹に食べ物を入れてから、順を追って昨日の自分の行動を未来に報告した。
「昨日職場の先輩に告白されてね、『好きな人がいる』って断ったんだけど、逆に『その人には気持ちを伝えたの?』って諭されて。で、私も今度の誕生日で28だし、周りの人も色々と心配してくれてるから、自分の気持ちにケジメつけなきゃなって思って」
「で、宮脇に電話して、告ったと」
「うん」
「言ったはいいが、なぜか通話終了ボタンに手がのびて、そのまま切ってしまったと」
「うん」
「そのあと掛けなおす勇気はなくて」
「今に至ります……」
まるで尋問を受けて項垂れる容疑者のような気持ちで、目の前の未来を見つめる。