愛してるの代わりに
「一体どうなってるのよ」
一晩明けてからの急展開っぷりについていくことができないまま朝食を食べ終え、その後起きてきた芽衣にも両親が一部始終を報告したものだから、崎坂家は朝から大騒ぎ。
3人からの祝福をひとしきり受けた後、自分の部屋に戻った雛子は大きなため息をついた。
ふと、枕元にある携帯電話に目を向けると、メールの受信を知らせるランプが点灯していた。
――― もう、おじさんとおばさんから話聞いたかな? 何も言わずに勝手に言っちゃってごめん。どうしてもふたりには直接伝えたかったから、雛を無視して先に話した。今度会うときに改めてちゃんと話すから、機嫌直して
――― 勝手に話を進められたら誰だってびっくりするよ。別に怒ってないから今度から気をつけてね。でも私はそっちより、黙って行っちゃったほうに怒ってるよ!!
ちょっとだけ困らせたくて、少し怒ったふりをすると、すぐにメールが返ってきた。
――― 次からは気をつける。東京着いたら電話する
――― 私も寝坊してたから今回は大目に見ます。電話、待ってるね
これからふたりにどんなことが起こるかはまだまだわからないけれど。
でも、自分を好きって言ってくれた慎吾のことを信じてみよう。
そして、慎吾が好きって言ってくれている自分を信じてみよう。
「慎くんに会える日が、すぐ来ますように」
サンサンと降り注ぐ太陽に、流れ星よろしく雛子は小さく願いをかけた。