愛してるの代わりに
「ねぇ、でもなんで年末年始なの?」
「この時期はワイドショーも少なくて、あまり追っかけられないし」
それに、と慎吾が言葉を続ける。
「話題がそっちにいくように、翔さんと咲良ちゃんも同じタイミングで結婚発表してくれるから」
そういえば、黒川が言っていた気がする。
「さっき社長さんが言ってた『オッケーもらってる』ってそのことなの?」
「ああ。実はこの計画を打ち明けた時に、ふたりがそう言ってくれたんだ。『慎吾には借りがあるから』って」
「借り……?」
「咲良ちゃん取られないように、俺が噂の相手になってたこと」
確かにこの前会った時に、そういうことも言っていた。
「そんな、私たちの為にそこまでしてくれなくても……」
「俺も同じこと言った。だけど気にするなって。俺らに甘えろって言ってくれたから。雛だってふたりの気持ち、無駄にしたくないだろ?」
みんなの気持ちが嬉しくて、涙が溢れて言葉が出てこない。
こぼれる涙を慎吾が拭ってくれる。
「だから、これからもっともっと幸せになろう」
「……うんっ……!」
聖なる夜。
たくさんの人たちの優しさに包まれながら、慎吾と雛子は改めて将来を誓い合った。