婚約者の憂鬱
五百年ほど前。
セナンクールが建国される以前のことである。
ある小国の王女が望まれぬ結婚を強いられた。
彼女は、自分に仕えてくれる騎士と恋仲になっており、頑なに拒否をし続ける。
父親である国王は激怒し、恋人である騎士を処刑し、結婚式まで王女を幽閉した。
心労から王女はみるみる衰弱し、結婚した間もなく息を引き取る。
それから毎夜、王女は愛しい恋人を探して泣いているという。
彼女が病に伏した場所こそ、今現在のレオ宮にある東側の塔とされている。