忘れられない人がいる。

1156号室の前に着くと、
中から大声で泣く女性の声が聞こえてきた。

コン。。。

静かに、そっと、ノックした。

すると少しさっきの泣き声が、
小さくなった。


「すみません。隼人く・・・ん」
私は途中で言葉を失ってしまった。



隼人は・・・

顔に白い布を被せられていた。



言葉を失い立ち尽くす私に、
隼人のお母さんが、
泣きながら話しかけてきた。

「綾ちゃん。。。」

私と隼人は1番の幼なじみなので
隼人のお母さんとも顔見知りだ。

「おばちゃん・・・。あの、私。。。」

そう私がいいかけると、
おばちゃんは私の言葉を遮った。


「ごめんね。綾ちゃん。
今は、部屋を出てって・・・」

少し冷たい目だった。
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