未知なる者へ
バリア
人の能力は三つの大きな領域に分けられる。

『読む』『話す』『書く』

幼少時代からこれらのうちのどれかができない者がいる。

全てが滞りなくできる者が多い世の中で、

できない者は特別視され、

バリアという名の下に

区別される。

しかしながら、辛うじてそのバリアを抜け出した者こそが

抱える本当の苦悩など、誰も知る由もなく、

懸命に世の中について行こうとする彼等のことを

陰であざ笑い、蔑み、排除する。

バリアフリーなんて言葉は、

バリアのない人達がつけた偽善にしか過ぎず、

本当の意味でのフリーではない。

けれど、そんなハーフ・バリアの者達は、

ノン・バリアの人が持たない未知の力を秘めていて、

日々、それを活用して

生きている。

それに気づいたのはこの最近。

そう、あの子が十五になった頃から……。
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