深月のこころ2
見覚えのある車が目の前に止まった。
雨のせいで運転席の中までは見えなかったが、あなただと、すぐに分かった。
車に向かって走りながら、ロミオとジュリエットが頭に浮かんだ。
そんな綺麗な関係ではないのに。
美しい話しではないのに。
自分はジュリエットみたいだと、それほどまでに浮かれている自分に腹が立った。
騙し、裏切り、先の見えない関係だというのに。
ジュリエットでもなければ、ロミオでもないのに。