同級生
大都会の偶然
中学時代、僕らの同級生でただ一人、不登校の女子がいた。
福澤みやび…
彼女がどうして学校に来れなかったのか、誰にもわからなかった。
たまに来ても、誰とも何も喋らなかった。
きっと誰も彼女の声を聞いたことはなかっただろう。
中学1年の時、そんな彼女から僕はバレンタインデーにチョコを渡された。
驚いた…。
その光景を、みんなに見られていた。
散々冷やかされたし…なぜか同情すらされた。
ほとんど学校に来ていなかった彼女がどうして僕を好きになってくれたのかも…全くわからなかった。
当然、話したこともなかったし…。
卒業してから10年経って、僕らは初めて言葉を交わした。
大都会の真ん中で偶然再会して…
彼女の方から話しかけてきた。
「高原くんじゃない!?ほら、貴佐田中学の!」
「はい…そうです」
「やっぱりぃ!私、わかる!?」
彼女は派手な服装に厚化粧で身を覆っていたが、僕はすぐに福澤さんだとわかった。
「やっぱわかんないよねー。私ユーレイみたいなもんだったからね!あはは」
彼女はおどけ笑って飛び跳ねている。
「福澤さんだろ。わかったよ、すぐ」
「うっそだぁ!じゃあ今の間はなぁに?」