同級生
『まだ寝てたぁ?』
「うん。まだ外も暗いじゃんか」
『だってちょっとでも長い方がいいと思って』
「何が?」
『週末のデートだよぅ。なんか久しぶりだね!』
「デート…!?」
考え直してくれたのか…?
『…最後のデートだからいっぱい楽しもうね』
「最後…って…」
『じゃ、待ってるから迎えに来てね!』
言うだけ言って、彼女はさっさと電話を切った。
僕は飛び起きて、まだ薄暗い道を、彼女の部屋へと急いだ。
あまりの早さに、ドアを開いた彼女は目をまんまるくさせていた。
そして大笑いして…
「ははははは、慌てすぎだよ」
彼女は僕に近づき、僕の頭に手をまわした。
…寝ぐせか。
「ありがとう…」
「どういたしまして」
思わず僕は、近づいてきて僕の寝ぐせを直す彼女を抱きしめそうになった…。
「さっき電話でさ、なんかおかしなことが聞こえたんだけど…」
「おかしなこと?」
「最…後とかって…」
「ああ、言ったよ。私、明日引っ越すから」