同級生
翌日、仕事帰りに彼女の住むアパートに寄った。
けれど部屋がどこかわからず、僕は彼女の姿が見えるのを待つことにした。
外から帰ってくるか、中から出てくるか…
「おにいちゃんだれぇ?」
小さな男の子が僕を見上げている。
「おにいちゃんはね、人を待ってるの。あ、そうだ。ここに住んでいる福澤みやびっておねえちゃんの部屋知らな…」
「たくちゃんっ!」
男の子の母親が来て、慌てて連れて帰った。
どうやら僕は不審者と思われたようだ…。
通報でもされたら大変だ。
…ひとまずここは、帰ろうと思ったその時だった。
彼女が帰ってきた。
「…やぁ、奇遇だねぇ…!」
僕は少しギクシャクしながら偶然を装った。
「高原くん!…なんか今年になってよく会うね」
「だなぁ!ははははは…」
「…じゃあ」
「あ、そうだ!今度の日曜同窓会があるんだって。福澤さんも行く…よな!?」
「あ、雨」
突然激しい夕立に襲われた。
とりあえずアパートの玄関に避難した。