同級生
だんだん人の多い繁華街へ入っていった。
…どこで働いているんだろう?
「おっ…と」
駅の前で彼女は立ち止まった。
…誰かを待っているのか?
僕は木陰に身を潜めて、様子を見ていた。
「こんなところで何をしているの?」
僕の後ろから声をかけてきたのは…お巡りさんだ。
「え…ちょっと…コンタクトを落としちゃって…よく見えないんですよねー、ははは…」
思わず挙動不審になった僕を、疑わしい目で見た。
「あっ、ありました!すみません、あーよかったぁ」
なんてごまかしながら、とりあえずその場を離れた。
そうこうしている間に彼女は行ってしまうかもしれないと、お巡りがいなくなったことを確認し、急いでさっきの場所へ戻った。
彼女は……まだ立っていた。
雑踏にひとり立つ彼女を見ていて考えた。
あの弱々しい彼女がどんな思いで…たったひとりで上京したのか…
しばらくすると、彼女のところへ中年の男がやってきて、2人で歩き出した。