同級生

「いえ、僕はそういうんじゃなくて、本当にたまたま近くに住んでたっていう…恋人は他にちゃんといるみたいです」

「ええ!?うっそぉ!?どんな人?…まさかその人に貢がせたりしてるんじゃないでしょうね!?」

「…それはないと思います、僕も昨日初めて会ったんですけど…。たぶん僕らよりまだ若くて…確か吉田啓太という名前で…」

「吉田啓太?…なんだ、いとこの啓太くんのことじゃないの?」

「へ?」

「20歳くらいの、背のすらっとした子でしょ。啓太くんも今年上京したからきっとどこかで会ったのね。恋人じゃないわよ、いとこよ、いとこ!」

「そう…なんですか…」

「そうそう。だから俊平くん、良かったらみやびのことよろしくね!あの子まだあなたのこと好きかもよ」





そう言われても…




彼女はもう僕のことは何とも思ってはいない。

…逆に迷惑なのかもしれない。
あんな嘘まで吐くなんて……。







「帰ります」

「もう?お腹空いてない?」

「大丈夫です。明日仕事なんで、こちらからもう空港へ向かいます」


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