同級生
克服できないもの
「俊平は帰ってこんのか?」
「今もう空港ですって。…まったくうちの息子どもは!」
母のプンプンしている顔が浮かんでくるようだった。
東京に帰り着いたのは深夜になった。
「ゆっくりしてこいって言ったのに」
「そういうわけにはいかないよ、明日からまた仕事…ふわぁ~……おやすみ」
さすがの僕も疲れ果て、着替えもせずベッドへ直通だった。
翌日の帰宅途中、近くのスーパーで彼女とバッタリ会った。
「あ、こんにちは」
「こんにちは…」
「…ねぇ、福澤さん………」
話しかけようとしたけど、彼女はサッとレジに向かった。
僕と…話しもしたくないのか…
軽くへこんで僕は買い物を続けた。
数分後、僕がレジに行くと、彼女はまだ並んでいた。
彼女の並んだ所は時間がかかっているみたいだ。
僕の方が先にすんだ。
「…じゃお先に」
「あ、うんっ。バイバイ」
彼女はやっと会計にたどり着いていた。
「2480円です」
「えっ…!?」