音の生まれる場所
朔ーー遠藤雄朔(えんどう ゆうさく)と初めて会ったのは中一の春だった。
音楽室のドアの前で、中に入ろうかどうしようか迷っていた私の後ろに彼が立ってた。
「入るなら入れよ。そんな所に突っ立ってないで」
真新しい黒の制服が、同じ中一だと思わせた。
「は、入るわよ!入ればいいんでしょ!」
ごくっ…と唾を呑み込み、ドアノブを捻った。
防音効果のある扉の向こうから、音が一斉に押し寄せて来る。
「ゆうさくっ!」
メガネをかけた先輩が、私に向かって声をかけ、手を振る。
(ゆうさく…?)
誰のことかと首を傾げたら、後ろからそれに応える声がした。
「シロー先輩!」
立っていた男子が横をすり抜けてく。
私と朔の出会いは、そんなワンシーンから始まった…。
「よしっ!じゃあ掘るか!」
ショベルを手にハルが土を砕き始める。
夏草の生えた土は固く、ショベルの刃はなかなか立ってくれない。
中三の夏の日も、今と全く同じだったーーー…
音楽室のドアの前で、中に入ろうかどうしようか迷っていた私の後ろに彼が立ってた。
「入るなら入れよ。そんな所に突っ立ってないで」
真新しい黒の制服が、同じ中一だと思わせた。
「は、入るわよ!入ればいいんでしょ!」
ごくっ…と唾を呑み込み、ドアノブを捻った。
防音効果のある扉の向こうから、音が一斉に押し寄せて来る。
「ゆうさくっ!」
メガネをかけた先輩が、私に向かって声をかけ、手を振る。
(ゆうさく…?)
誰のことかと首を傾げたら、後ろからそれに応える声がした。
「シロー先輩!」
立っていた男子が横をすり抜けてく。
私と朔の出会いは、そんなワンシーンから始まった…。
「よしっ!じゃあ掘るか!」
ショベルを手にハルが土を砕き始める。
夏草の生えた土は固く、ショベルの刃はなかなか立ってくれない。
中三の夏の日も、今と全く同じだったーーー…