音の生まれる場所
明るいな…と思って目を開けた。
目の前に見たことのない模様が見えて、何だろ…と思いながら撫でてみた。
(服…?あっ…シャツの生地か…)
グリーンの地にイエローとブルーのラインが入っている。キレイな配色だ。
(そう言えば昨日、これと同じ物を誰か着ていたような…)
誰だったっけ…と考えながら思いを巡らせる。それで急に思い出した。
(そうだ!あの人だ!)
飛び起きて相手を見た。
「坂本さん…」
ビックリして、でも同時に自分の格好を見た。
(良かった…服は着てる…)
ホッとする。でも、考えてみたらそれどころじゃなかった。
「今何時なの⁉︎ 」
放っていたバッグから電話を取り出す。
「九時⁉︎ うそっ!」
頭の中で自分がいる場所を思い出す。
昨日、練習の後でハルシンと一緒に飲んで、駅で坂本さん達と会って飲むことになってーーー
(それから話がつかなくて、宇崎さんの部屋で飲み直そうってことになって……だからここは…)
キョロキョロと周囲を見渡す。
部屋の壁沿いに大きなオーディオセット。その向かいにソファーベッド。
その上で丸くなって寝転んでいる宇崎さん。そして隣で眠り込んでいる坂本さん…。
(そっか…ここ宇崎さん家だ。…でも、なんで 坂本さんが隣で寝てるの…⁈ )
記憶にあるのは熱心に音楽について話してくれていた姿。
それを見ながら、この人はホントにブラスが好きなんだな…って思った。
でもそこから先の記憶は……
(まるで覚えてない…)
日が変わったのも朝が来たのも。
「やばっ‼︎ 家に連絡もしてない‼︎ 」
立ち上がる。黙って帰るのも何だか変だけど、坂本さんを起こすのはなんだか恥ずかしい…。
「あの…宇崎さん…」
ユサユサ揺り起こす。毛布の中で眠っていた目が少しだけ開いた。
「私、帰りますから…」
ボソボソと小声で言うと、寝ぼけた顔で手を振られる。
分かってないなと思いながら、バッグを拾い上げる。
足元にはキレイな寝顔の坂本さん。自分の上着を引っ掛けて寝ているのに背中が出ている。
(風邪ひく…)
そう思って上着を掛け直した。閉じていた目が薄っすら開き、ビクッとなった。
「…寒くない?」
寝ぼけたように聞かれた。
「は…はい、大丈夫です」
答えると安心したように目を閉じる。それを見て夜中急に温かくなった理由が分かった。
(坂本さんが自分の上着を掛けてくれたんだ…)
寒くないように身を寄せて…。
急にドキドキしてきた。
部屋を出て駅に向かいながら、さっきの優しい眼差しが頭に浮かんだ。
「寒くない…?」
心配そうに聞かれた。
朔じゃない男の人と、あんなに間近に接近したのは初めてだ…。
(よ…酔っ払ってたからね…)
自分で自分を納得させる。
胸の動機はその後もしばらく続いたーーー。
目の前に見たことのない模様が見えて、何だろ…と思いながら撫でてみた。
(服…?あっ…シャツの生地か…)
グリーンの地にイエローとブルーのラインが入っている。キレイな配色だ。
(そう言えば昨日、これと同じ物を誰か着ていたような…)
誰だったっけ…と考えながら思いを巡らせる。それで急に思い出した。
(そうだ!あの人だ!)
飛び起きて相手を見た。
「坂本さん…」
ビックリして、でも同時に自分の格好を見た。
(良かった…服は着てる…)
ホッとする。でも、考えてみたらそれどころじゃなかった。
「今何時なの⁉︎ 」
放っていたバッグから電話を取り出す。
「九時⁉︎ うそっ!」
頭の中で自分がいる場所を思い出す。
昨日、練習の後でハルシンと一緒に飲んで、駅で坂本さん達と会って飲むことになってーーー
(それから話がつかなくて、宇崎さんの部屋で飲み直そうってことになって……だからここは…)
キョロキョロと周囲を見渡す。
部屋の壁沿いに大きなオーディオセット。その向かいにソファーベッド。
その上で丸くなって寝転んでいる宇崎さん。そして隣で眠り込んでいる坂本さん…。
(そっか…ここ宇崎さん家だ。…でも、なんで 坂本さんが隣で寝てるの…⁈ )
記憶にあるのは熱心に音楽について話してくれていた姿。
それを見ながら、この人はホントにブラスが好きなんだな…って思った。
でもそこから先の記憶は……
(まるで覚えてない…)
日が変わったのも朝が来たのも。
「やばっ‼︎ 家に連絡もしてない‼︎ 」
立ち上がる。黙って帰るのも何だか変だけど、坂本さんを起こすのはなんだか恥ずかしい…。
「あの…宇崎さん…」
ユサユサ揺り起こす。毛布の中で眠っていた目が少しだけ開いた。
「私、帰りますから…」
ボソボソと小声で言うと、寝ぼけた顔で手を振られる。
分かってないなと思いながら、バッグを拾い上げる。
足元にはキレイな寝顔の坂本さん。自分の上着を引っ掛けて寝ているのに背中が出ている。
(風邪ひく…)
そう思って上着を掛け直した。閉じていた目が薄っすら開き、ビクッとなった。
「…寒くない?」
寝ぼけたように聞かれた。
「は…はい、大丈夫です」
答えると安心したように目を閉じる。それを見て夜中急に温かくなった理由が分かった。
(坂本さんが自分の上着を掛けてくれたんだ…)
寒くないように身を寄せて…。
急にドキドキしてきた。
部屋を出て駅に向かいながら、さっきの優しい眼差しが頭に浮かんだ。
「寒くない…?」
心配そうに聞かれた。
朔じゃない男の人と、あんなに間近に接近したのは初めてだ…。
(よ…酔っ払ってたからね…)
自分で自分を納得させる。
胸の動機はその後もしばらく続いたーーー。