冷たい君。
人は優しさになれると駄目になると思う。
『小鳥遊くん』私は君の名を口にした。
優しく言葉を返してくれるのではないかと
淡い期待を抱いて。
現実はそんな甘いものじゃない。
わたしはこの17年間身をもって
体験してきたはずなのに。
「なに」疑問符さえ付けてもらえず
冷たく言い放たれた。
得体のしれない絶望感。
自分はなんて馬鹿なんだろう。
目の奥に熱いものが溜まっていくのがわかった。
私から声をかけたのに
返事がないことを疑問に思ったのか
君がこちらを向いた。
きみの目が見開かれていくのがみえた。
驚いているのがよくわかる。
私も驚いているのだから。
何故か私は泣いている。
わかっている。わかりたくないけれど。
君が優しくしてくれると
どこかで勘違いしていたのだ。
期待させるだけさせて突き放す君は
ずるいと思った。
けどやっぱり私は君のことが好きなんだ。
優しくした後に冷たくする君のことを。
どうしたらいいのかわからないくらいに。
「ごめん。」そう言って君は私の頭を優しくなでた。飴と鞭なのかもしれない。
なぜ君がこんなことをするのかは
わからなかったけれど、そんな気がした。