冷たい君。


三学期の終業式の日に告白する予定だった。


あの日は曇りだった。
このまま雨が降ってきたら
私は君に想いを伝えることができない
そんな気がした。理由はない。

゛今だよ!゛心がそう叫んだ。

ふらっと昼休みに中庭にいってみた。
椅子に座り優雅に本を読んでいる君を見つけた。
まるで君の周りだけ庭園のような
空気にまとわれている。

庭園に行ったことがない私は
『庭園ってこんな風なのかな。』
ぽつりとつぶやいた。

ゆっくりと君の目の前まで行った。
君は本から目をはなさない。

すーっといきをすきこみ。
ゆっくりと。はっきりと。
君の心に届くことを願って


『好きです。』


この言葉を口にした。
告白されているのにそれでも君は
本から目をはなさない。
そして私に行ったんだ。


「むり。」



このふた文字を。
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