追憶のエデン
*




――ゴオッ



「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!」



神界、最果ての地。


神界へと続く門前でそれは起こった。


蒼黒い地獄の業火が巨大な身体をうねらせ、空高く昇って行く。その轟く業火の中心で翼を持った白き戦士だったもの達は、髪が燃え、皮膚が爛れ、肉が焼け落とされていく痛みに耐えながら、瞬時に得られない死にもがき、苦しみながら断末魔を上げた。そして一人残らず跡形もなく焼き消されるまで、蒼黒い炎は天使に恐怖を与え続けていた。



「一瞬で楽になんて、させてあげないよ。
君達にはその声を届けてもらわなきゃいけないんだからさ。クスッ
……ホラ、もっと鳴けよ。その汚い声で、終焉の始まりを神界の皆に教えてやれ。」



月の様な金の髪。宝石を嵌めこんだかのようなサファイアブルーの瞳、陶磁器よりも美しくきめ細かい肌には、誰もが息を飲む程の端正な顔立ち。それは完全な美を具現化した至高の芸術品とも言える男だった。



「長い因縁に、いい加減ケリをつけようか。クスッ
さぁ、みんな。行こう?」



魔界の王を筆頭に、名のある悪魔達が何千万もの兵を引き連れ、神界の入口へと入って行く。
そしてこの事は直ぐに神界中を駆け巡り、この地に住まう弱き者達に恐怖を与えるのに、さほど時間は掛からなかった。




*




――……ぅ、んっ……?………君は寝顔を勝手に見るのが好きなの?ホント悪趣味。最悪。

――……

――何?

――きらきらしてる。

――はぁ?

――ルキフェルの瞳はきらきらして綺麗だね。この広がる空よりも、ヤハウェに見せて貰った海よりもずーっと綺麗。世界で一番綺麗な青だわ!

――……クスッ…あはははっ!

――何で笑うの?面白い事でもあった?

――クスッ…いきなり何を言うかと思ったら、君は相変わらず突拍子もない事を言う。

――そうかな?でも本当の事だもの。

――!……クスッ…ほらまたそうやって。クスクスッ
   でも、何でだろうね。君にそう言われるのも、悪くないって思えてきちゃうんだ。

――ふふっ。

――だからって調子に乗らないでね。………ありがとう。嬉しかったよ。
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