追憶のエデン
Episode7
白んでいく空の淡いグラデーション。沈黙を貫いたままの朝の空気。
結局辿り着いたのはいつもの部屋。そして床にペタリと座り込み、ソファーの上に頭を支える様に腕を置いたまま、ボーっと時間の経過と共に変わり行く外の景色を見ていた。
違う…。見ていたというより、ただ瞳の表面にその光景を映していただけで、感じる視界はまだあの時と同じ真っ暗な闇だった。だからあたしがここにどれ位いたのかなんて分からない。
心臓が握り潰される様な痛みが走れば、勝手に溢れてくる涙。
そして時々、意識がなくなったかの様な空白の時間。その繰り返し――。
何も考えたくないと思えば思う程、逆に考えてしまう悪循環に心は疲れてしまっていた。
――コンコン。
「未羽ー?いるー?
…っあっれー?どこにいんだろ?」
グレンが来たようだったけど、誰にも今は会いたくなくて返事もせず、視線はまだ窓の向こうを映していた。
そしてドアの向こうはまた静まり返っていた。きっと彼は違う場所にでも行ったんだろう。
「ごめんね…。」
「ほーんと、無視するなんて未羽は酷いよねぇ。
泣いてるなら、尚更俺の事無視すんなよ。」
てっきり何処かへ行ったと思っていたのに、グレンはあたしの直ぐ横にしゃがんでおり、拗ねた顔をしながらも真っ直ぐにあたしを見ていた。
「ごめん…。でも今は一人になりたいの…。」
「嫌だ。
ねぇ、未羽は一人でこの場所に居て、気持ちは軽くなった?
なってなんかないよね?
それに…泣きたくなったらの約束、もう忘れたの」
少し怒ったようなグレンの声と言われた言葉に戸惑う。
「忘れたわけじゃないよ…でも「いいからっ!」
声を遮られ、力強く手を引かれれば、前みたいに横抱きにされ、顔の近くには綺麗なピジョンブラッドの瞳と整ったグレンの顔が飛び込んできた。
「俺が連れてってあげる。今度こそ…ねっ?」
開け放たれた窓、巻き上がる風。綺麗な青空。そして黒い蝙蝠の様な大きなグレンの翼。
音もなく、一瞬であたし達は風となり、空を駆け抜けた。
目的地が何処かなんて知らない。
でもそんな事はどうでも良かった。
結局辿り着いたのはいつもの部屋。そして床にペタリと座り込み、ソファーの上に頭を支える様に腕を置いたまま、ボーっと時間の経過と共に変わり行く外の景色を見ていた。
違う…。見ていたというより、ただ瞳の表面にその光景を映していただけで、感じる視界はまだあの時と同じ真っ暗な闇だった。だからあたしがここにどれ位いたのかなんて分からない。
心臓が握り潰される様な痛みが走れば、勝手に溢れてくる涙。
そして時々、意識がなくなったかの様な空白の時間。その繰り返し――。
何も考えたくないと思えば思う程、逆に考えてしまう悪循環に心は疲れてしまっていた。
――コンコン。
「未羽ー?いるー?
…っあっれー?どこにいんだろ?」
グレンが来たようだったけど、誰にも今は会いたくなくて返事もせず、視線はまだ窓の向こうを映していた。
そしてドアの向こうはまた静まり返っていた。きっと彼は違う場所にでも行ったんだろう。
「ごめんね…。」
「ほーんと、無視するなんて未羽は酷いよねぇ。
泣いてるなら、尚更俺の事無視すんなよ。」
てっきり何処かへ行ったと思っていたのに、グレンはあたしの直ぐ横にしゃがんでおり、拗ねた顔をしながらも真っ直ぐにあたしを見ていた。
「ごめん…。でも今は一人になりたいの…。」
「嫌だ。
ねぇ、未羽は一人でこの場所に居て、気持ちは軽くなった?
なってなんかないよね?
それに…泣きたくなったらの約束、もう忘れたの」
少し怒ったようなグレンの声と言われた言葉に戸惑う。
「忘れたわけじゃないよ…でも「いいからっ!」
声を遮られ、力強く手を引かれれば、前みたいに横抱きにされ、顔の近くには綺麗なピジョンブラッドの瞳と整ったグレンの顔が飛び込んできた。
「俺が連れてってあげる。今度こそ…ねっ?」
開け放たれた窓、巻き上がる風。綺麗な青空。そして黒い蝙蝠の様な大きなグレンの翼。
音もなく、一瞬であたし達は風となり、空を駆け抜けた。
目的地が何処かなんて知らない。
でもそんな事はどうでも良かった。