追憶のエデン
「してらっしゃるではありませんか?
……ハァ…貴女は本当に呆れるくらい馬鹿ですね。
貴女は、ご自分だけが苦しく、辛い思いをしてらっしゃるとでも?
ルキフェル様は?あの姉弟は?
きっと貴女と、いや…それ以上の苦しみを胸に抱えていらっしゃるかもしれません。
そういう事、貴女は少しでも考えて差し上げた事、おありですか?」
「――!!」
「ほうら。貴女はどこまでも自分勝手なプリンセス様なのですよ。分かったでしょう?貴女が彼らを思い、泣くのはお門違いだという事に……
あぁ…それと、最後にもう一つ、大切な問題をあなたに致しましょう。
何故、貴女はアノ時、恋人である渉様を呼ばずに、ルキフェル様に助けをお求めになられたんですか?」
オロバスさんの心の奥まで見透かす様な視線が、目を反らし、嘘など言わせないとばかりに向けられる。
確かにアリシアさんに殺されそうになった時、咄嗟に浮かんだのは渉さんではなく、ルキフェルだった。
でも何故彼の顔が脳裏を過ったのかなんて、分からなかった。
(本当に嫌になる位、オロバスさんが言う通り、何処までも自分勝手な人間だ……)
答えのまだ見えない質問に、必死に頭を働かせるが、どう頑張っても導き出せない。
そしてそんなあたしを見て、オロバスさんは溜息を吐いたのが分かった。
「貴女には難しすぎたのでしょうか?
本当に、呆れて何も言えません。
取り敢えず、まずはルキフェル様にお礼をきちんと伝えなさい。どうせまだ、なのでしょう?
そしてお礼が済んだら、私が出した問題の答えに正面から向き合い、答えを導き出しなさい。
……では、私はこれで失礼します。」
オロバスさんはあたしにそう告げると、さっさと退室した。
また部屋に静寂が戻り、ザアーザアーと雨が降りしきる音がやけに耳に付く。
「……助けてもらったのに、ありがとうって、まだルキフェルに伝えてないや。
そうだよね。お礼、きちんと言わないとね…」
何故ルキフェルだったのかなんて分からない。
でも何故、ルキフェルだったのか分りたいとも思った。
「焦らなくてもいい。
今は取り敢えず――。」
ドアノブに手を掛け、部屋を出る。
向かう先は、
ルキフェルのいる場所、かな?
……ハァ…貴女は本当に呆れるくらい馬鹿ですね。
貴女は、ご自分だけが苦しく、辛い思いをしてらっしゃるとでも?
ルキフェル様は?あの姉弟は?
きっと貴女と、いや…それ以上の苦しみを胸に抱えていらっしゃるかもしれません。
そういう事、貴女は少しでも考えて差し上げた事、おありですか?」
「――!!」
「ほうら。貴女はどこまでも自分勝手なプリンセス様なのですよ。分かったでしょう?貴女が彼らを思い、泣くのはお門違いだという事に……
あぁ…それと、最後にもう一つ、大切な問題をあなたに致しましょう。
何故、貴女はアノ時、恋人である渉様を呼ばずに、ルキフェル様に助けをお求めになられたんですか?」
オロバスさんの心の奥まで見透かす様な視線が、目を反らし、嘘など言わせないとばかりに向けられる。
確かにアリシアさんに殺されそうになった時、咄嗟に浮かんだのは渉さんではなく、ルキフェルだった。
でも何故彼の顔が脳裏を過ったのかなんて、分からなかった。
(本当に嫌になる位、オロバスさんが言う通り、何処までも自分勝手な人間だ……)
答えのまだ見えない質問に、必死に頭を働かせるが、どう頑張っても導き出せない。
そしてそんなあたしを見て、オロバスさんは溜息を吐いたのが分かった。
「貴女には難しすぎたのでしょうか?
本当に、呆れて何も言えません。
取り敢えず、まずはルキフェル様にお礼をきちんと伝えなさい。どうせまだ、なのでしょう?
そしてお礼が済んだら、私が出した問題の答えに正面から向き合い、答えを導き出しなさい。
……では、私はこれで失礼します。」
オロバスさんはあたしにそう告げると、さっさと退室した。
また部屋に静寂が戻り、ザアーザアーと雨が降りしきる音がやけに耳に付く。
「……助けてもらったのに、ありがとうって、まだルキフェルに伝えてないや。
そうだよね。お礼、きちんと言わないとね…」
何故ルキフェルだったのかなんて分からない。
でも何故、ルキフェルだったのか分りたいとも思った。
「焦らなくてもいい。
今は取り敢えず――。」
ドアノブに手を掛け、部屋を出る。
向かう先は、
ルキフェルのいる場所、かな?