追憶のエデン
「仕事の邪魔、しないでくれる?」
「――ッ!
……ごめんね。邪魔しちゃって……。でも、終わったらでいいから…ルキフェルに、話があるの。」
「僕は君に話す事なんてないよ。だから――。」
「……それでも、待ってるから――。」
押し潰されそうになるのを必死で耐え、ルキフェルに無理矢理作った笑顔で伝える。
しかしルキフェルは何も答える事なく、あたしから視線を外すとバタンとドアを閉め、また静けさだけが廊下に広がっていった。
(都合が良過ぎるのも、タイミングが悪いのも分かってる。でも――。)
ヒールの音を響かせ、ドアから徐々に遠ざかっていく。
たださっきまで同じように少し高めに響いていた音が、今響いてる音と同じものだとはどうしても思えなかった。