追憶のエデン
「で？…君達さぁ…。
急所を全て綺麗に避け、君達の気が触れるまで肉体的にも精神的にも苛まれながら、じわじわと嬲り殺されたい？
それとも…その口を裂いて、舌を突き、喉を貫いて、おしゃべりな口を一生利けない様にされる方が、お好み？クスッ



静かに…出来るよね？クスクスッ」



「――ッッ！！！」



恐怖心を掻き立てる様にきりきりと空気を張り詰めらせ、背筋が凍る様な凶悪性を孕んだルキフェルの声が鏡に向けられ、各鏡からは息を飲みその恐怖に動揺する様な気配がした。



「それじゃぁ、始めよっか。
オロバス…。」


「はい。
各諸侯の方々のお耳にも既に届いているとは思いますが、本日はその詳細報告した後に、本日の議題へと移らさせて頂きたいと思います。
では先日事件を引き起こしたバトラー家の姉弟の事件経緯と被害内容、処罰ですが……」


やはりあたしがこの各諸侯が集まる大切な国際会議に何故呼ばれたのか、意味が分かった。


「……ですから、未発表とはいえ魔界の王で在らせられるルキフェル様の花嫁を拉致、暴行、強姦は大罪であるとみなし、彼らはルキフェル様自ら死罪に致しました。
またこの件に関して父アルバート卿は認知していなかったとはいえ報復がないとは限りません。ですから既に逮捕致しましたアルバート卿には死刑、もしくは極東の地にて一生涯飢餓に苦しみ精神を蝕まれながら、幽閉生活をお送りされるかを本人に選ばせております。
そしてバトラー家の全財産及びの地位の剥奪に関してですが、不動産や事業に関してはルストリアとイスペラディティアで後日再度話し合いの場を設けたいとこちらは考えております。
では次にバトラー家が携わっていた国家事業に関しての後任ですが……」


抑揚のない声でオロバスさんは書類に掛かれた内容を読み上げ、淡々と進められていく。
そして一通り読み上げた後、静まり返った室内にねっとりとしているのに何処か色っぽい男の声が、蠍を映した鏡から響き渡った。
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