追憶のエデン

*





眠りと目覚めを繰り返し、10の運命を廻り終えた時、20の生み月を重ね、21番目の星の終わりに――





*





窓から吹き抜ける風の悪戯で、髪がふわりと流れ、かさかさとピアノの譜面台に置かれた楽譜が足元に散らばった。
「もう。」と文句を零してもそれに付き合ってくれる言葉はなく、ピアノ部屋にはあたし以外誰も居なかった



あれから数日。事後処理や国家事業の件で国内外問わず忙しく、バタバタとその対応に追われていたルキフェルやオロバス達の仕事も漸く落ち着きを取り戻していった様に見えた。


その事に対しやはり申し訳なさを感じつつも、これ以上迷惑をかけたくなくて、こうして大人しく静かにお城での生活を送っていたが、やっぱりそれは正直退屈で……。



「…そうだっ！！」



いい事を思いついたと言わんばかりにこのお城で働くメイドさんを捕まえお願いしてみた。


「良かったら何かあたしにもお仕事、手伝わせて貰えませんか？」


これなら少しでもお世話になってるお礼にもなるだろうと、ありきたりな考えだがあたしが思いついた事だった。



でも、


「そんなっ！！イヴ様にその様な事させられません！！
イヴ様はどうぞ私共の事などお気になさらず、お過ごし下さいませ。
あ、でも、お気持ちは嬉しく頂きます。ありがとうございます。」
と笑顔でやんわり断られてしまった。
これ以上何も言えず、「いえ…。こちらこそ無理言ってすみません。」とだけ言うと引き返した。


それでも何かと考え、その時丁度出くわしたオロバスにその事をお願いするも、いつもの無表情で「なりません。」とばっさり切り捨てられ、こうなったらとルキフェルにお願いするとクスクスと笑いながら「そう…気にしなくていいのに。」とだけ言われてお仕事に戻ってしまったので、こうしてまた日長一日をどう過ごそうかと毎日悩みながら過ごしている。そして冒頭に戻るわけで……。