オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
私たちは、仲良く手を繋いだまま、街の雑踏を闊歩していた。
 
このシーズン、カップルが多いように見えるのは、気のせいかしら。
 
寒い季節に、温まるように寄り添っている恋人同士が、やけに目につく。
 
皆は、幸せにやってるかな。
 
私の幸せを、分けてあげたい。

「このあと、どうする?」
 
夢くんが、私の顔を覗き込んで言った。

「歩き疲れちゃった」

「じゃあ、どこかお店に入ろうか」

「うん。喉も渇いたし」
 
私たちも、素敵なカップルに見えるかな。
 
カッコイイ夢くんと、私、釣り合ってるかな。
 
なんて、浮かれ気分だった。
 
けれど。
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