オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
前の方から歩いてくるカップルに、目が止まった。
 
腕を組んで、仲よさそうに歩いてくる。
 
男のひとは、ちょっと低めの身長、黒い髪。 
 
厚手のクリーム色のセーターに、ブルージーンズ。
 
女のひとは、水色のタートルネックに、チノパン。
 
どこかで見覚えのある影だった。
 
……見覚えがあるだけじゃない、あれは――。
 
……想太と、さやかだ……!
 
何で、想太とさやかが?
 
同じクラスだし、面識があるのは解る。
 
でも、腕を組んで歩いているということは。
 
ふたり、つきあってるの?
 
思わず歩みが止まってしまった。
 
向こうのふたりも、私に気づいたようで、目を見開いた。
 
そして、想太はさやかに耳打ちし、私たちのところへ歩み寄ってきた。

「……梨聖ちゃん?」
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